巣箱の架設によるブッポウソウの保護



 絶滅のおそれのあるブッポウソウの保護のために、広島県では、電話柱など人工構造物に巣箱を架設する事により、ブッポウソウの保護増殖に成功しています。この事例は、野生動物保護の数少ない成功例として注目されています。


 ブッポウソウの保護マニュアルについて

 ブッポウソウの保護について、質問が多かった項目を中心に、巣箱の設計図等を含め数枚にまとめ、「ブッポウソウ保護マニュアル」を作成しました。ブッポウソウの保護に関心のある方は、打ち出してぜひご利用ください。

ブッポウソウ保護マニュアル


絶滅寸前からの奇跡的復活

【保護のこれまでの経緯と現在】

 広島県では、1980年代はじめ頃までは、県内に推定で約25つがい程度のブッポウソウが生息していました。しかしその頃繁殖に使用していた巣穴(キツツキ類の開けた穴)のある木製の電柱や電話柱がコンクリート製の柱に交換されていくと共に急速に生息数を減少させ、1980年代後半には、県内で推定 5〜10つがい程度にまで減少してしまいました。

 その少し前から、減少していくブッポウソウの将来に危機感を抱いていた私(飯田 知彦)は、電話会社等ブッポウソウが繁殖に使用していた木製電話柱等の所有企業に、交換された後のコンクリート製の柱に巣箱を架設させてもらえないかと交渉を始めていました。そして数々のデータ等を用いながら交渉した結果、数年後やっと柱の所有企業の協力を得ることができました。そして1988年から、繁殖巣穴のあった木製電話柱等が交換された後のコンクリート製の柱に保護用の巣箱を架設するというブッポウソウの保護活動を開始する事ができました。(これが、日本で初めての本格的なブッポウソウの保護活動の始まりでした。)

 その結果、巣箱架けの保護活動を開始した1988年から15年後の2003年には、広島県内で繁殖するブッポウソウのつがいの数は、5つがい程度から 157つがい以上にまで増加・回復しました。特に2000年以降のブッポウソウの個体数の増加は著しく、広島県では保護が軌道に乗り、個体群が安定した事を強く感じています。
 しかし日本全体では、各県平均 1〜2つがい程度しか生息しておらず、絶滅が推定される県も少なくありません。

 そのため現在、さまざまな組織の多くの方々と協力しながら、ゆるやかな連合体として技術を共有しつつ、毎年巣箱の架設個数を増やし巣箱をかけた地域を拡大し、ブッポウソウの個体数の増加と生息域の拡大を行い、日本のブッポウソウの個体群の安定的保護のために活動しています。

 〔ブッポウソウについては、下記を参照してください。環境省の定める絶滅の危機のランクで、比較的よく知られているタンチョウやアホウドリなどと同じランクにある貴重な鳥です。〕

ブッポウソウについて


              電話柱に架設された巣箱


 巣箱の架設にあたっては、特に西日本電信電話株式会社様の多大なるご協力をいただきました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。


 人工構造物への巣箱の架設によるブッポウソウの保護活動は、日本では他に岡山県で行われています。長野県ではブッポウソウは本来の生息地であるブナなどの森林に生息しており、そのブナ林への巣箱の架設での保護活動が行われています。そして2005年からは、広島県で繁殖したブッポウソウの個体群の増加を受けるかたちで、絶滅が推定される隣県の山口県でも巣箱架けの保護活動が開始される予定です。この保護活動が広く全国に広がっていき、日本全体のブッポウソウの個体群が安定して繁殖するようになる日が来ることが待たれます。


 【重要】 巣箱の架設について

 巣箱の架設は、巣箱を架設する柱や木の所有者の許可を受けてから行ってください。
 特に人工構造物の場合、そもそもその柱は巣箱を架けるために設置されている訳ではないので、勝手に架けると大きな問題になる可能性があります。場合によっては事故等にもつながりかねず、金銭的な問題にも発展しかねません。そのためにも、どうしても人工構造物への巣箱の架設が必要な場合、所有者に構造等から設置についての問題を十分検討してもらい、必ず正式な許可を受けたうえで架設するようにしてください。
 なお、本ホームページは、人工構造物への巣箱の架設を勧めている訳ではありませんので、ご了承ください。


ブッポウソウ用巣箱の作り方


 ブッポウソウ用巣箱の設計図は、以下のとおりです。

   ブッポウソウ用巣箱の設計図。単位はmm。巣穴の直径は80mm。
   板幅は180mmでも可ですが、図面どおり210mmをおすすめします(雛が5羽以上の場合(通常4羽)、内部が
   狭くなり死亡したと思われる事例があることと、オシドリも利用できるためです)。。

 巣箱についての解説

 ・底板の四隅を水抜き穴として切り落とす。比較的大きめに落としてもよい。
 ・状況により、針金やヒモを通す穴を背板にあけ使用する。
 ・巣箱の掃除等を行う予定がある場合は、横板の下半分程度が上に開くタイプに作ったほうが使用しやすい。

 巣箱作成にあたってのポイント(高耐久性巣箱の作成方法)

 ・板には、スギやヒノキを使用する(ラワン等南洋材、マツは腐り、モミの白木は割れるため避ける)。
 ・板の厚みは10mm以上あること。
 ・釘はステンレス製の、可能ならばスクリュー釘を使用する。
 (注)スギやヒノキの板を使用する理由に、巣箱の軽量化もあります。また、スギの間伐材はかなり安価です。

 巣箱のかけ方

 ・巣箱の底には、3cm程度(3つかみ程度)、園芸用のピートモスを入れる(ブッポウソウは巣を作らず床に直接産卵するため:これがないと卵が転がってうまく抱卵できない)。
 ・できるだけ大きい木の幹の、枝のない場所にかける。
 ・架ける高さ(地上高)は、高くても 5m 程度でよい。
 ・できるだけ開けた場所にかけること。
 ・生きた樹木に架ける場合は、一晩水につけてよく水を含ませたシュロ縄を使用すること(針金だと木の生長に伴い木にめり込む)。
 ・特に人工構造物への架設の場合は、必ず所有者、場合によってはその土地の所有者にも設置許可を取ること。
 ・人工構造物に架設する場合は、ステンレス製の針金を使用すること(サビないため)。

 巣箱の維持管理について

 ブッポウソウ用に限らず、すべての巣箱で重要なのは、巣箱をかけた後の維持管理です(この事は意外に知られていません)。巣箱は365日太陽光や風雨にさらされ、かけた場所が樹木の場合、少しずつ木が成長して大きくなるからです。そのため冬季など非繁殖期に巣箱を見回り、傷んだ巣箱の取り替えや修理を行い、シュロ縄が木にくい込みそうになっていたり切れそうな場合には交換しなければなりません。こうした作業を行わないと、巣箱が傷んだまま放置される事になり、場合によってはそのためにせっかく繁殖中の野鳥が外敵に襲われたり、もうその巣箱では繁殖しない事になります。そうなると森林にゴミを捨てるのと同じ事です。そしてそれを見た方は、巣箱に関して良い見方をしなくなるでしょう。こうした事態を避けるためにも、傷んだ巣箱は、早めに撤去または適切な補修等を行う必要があります。
 また、こうした管理作業以外でも、人によっては巣箱の内部の前回の繁殖期に使用された巣材や巣の内容物を捨てている方もいらっしゃいます。巣箱の熱消毒まで行っている方もいらっしゃいます。巣箱が少数の場合などには、余裕があれば行ってみるのもいいかもしれません(私自身は、自然状態ではそのままのため、なにも行っておりません)。


【ブッポウソウ用巣箱のかけ方等のノウハウの提供について】

 ブッポウソウ用巣箱は適当な場所さえあればどなたでもかける事はできますが、実際にブッポウソウが利用するかどうかはそのかけ方とかける環境によります。広島県全体や島根県の一部では、これまでの私たちの保護活動の結果、もうかなりの個体がいますので、ブッポウソウが好みそうな環境に巣箱をかければかなりの確率で利用します。しかし日本のほとんどの県ではもうほとんどブッポウソウがいませんので、ブッポウソウのために巣箱をかけても残念ながらまず利用されないだろうと思われます。
 しかし、このホームページを見た方などから問い合わせがあり、私もブッポウソウの分布拡大のために、可能な限りの協力をしています。具体的には可能ならば現地に行き、これまでの経験からブッポウソウが利用する確率が極めて高いと思われる場所を選定し巣箱をかけるように勧めています。また、それ以外でも多くのノウハウがありますので、それを提供しています。現在いくつかの県で、広島県で培われた方法でのプロジェクトが進行中です。

 何度も強調しますが、人工構造物に巣箱を架ける場合には、必ずその柱等の所有者の許可が必要です。広島県でも、私たちのプロジェクトをまねて無許可で人工構造物に巣箱をかけた例がありました。その影響は問い合わせ等で私たちにも及びますし、ひいては巣箱の設置の許可の取り消しなど、ブッポウソウ保護のネットワークと柱の所有企業などとの信頼関係を破壊しかねません。私が人工構造物の柱に巣箱をかけさせてもらえるようになるまでには、何年もの交渉が必要でした。その交渉を反故にしかねないものです。
 また、かけてもブッポウソウが利用しない巣箱を数多くかける事は、同様に社会にブッポウソウの保護活動に対する不信感を招きかねません。というのは、鳥が利用しない巣箱はスズメバチの巣場所になったりするためです。まず可能な限りブッポウソウが利用する確率が高いと思われる場所に巣箱をかけ、ブッポウソウに利用してもらい、実績をつくったうえで巣箱の個数をふやしていくのが適切な保護活動であるといえると思われます。そのため広島県では、かけて3年以内にブッポウソウやその他の野鳥が利用しなかった巣箱は、他の地域のよりブッポウソウが利用しそうな環境の場所に移動させ、可能な限り巣箱を利用させる事を行っています。

 ブッポウソウは意外に気難しい鳥で、文字ではうまく表現できませんが、よく巣箱を利用する環境があるのです。私は当初簡単に考えていましたが、実際その環境は地域ごとにかなり異なり、かなり地域性があるといえます。それを探しだし巣箱を架設する必要があるのですが、それには私が現地に直接赴き、場所を見て推測しながらノウハウを伝える必要があります。必要であれば調整のうえ可能な限り協力いたしますので、ご連絡いただければ幸いです。


【ブッポウソウ用巣箱についてまとめた本】




 これまでになかった巣箱の本

 このホームページに書いたことにさらに詳しいことを加えて、本にまとめました。
 よろしければ、ぜひご購入ください。


 巣箱についてこれほど詳しく書いた本は、他にないと思います。
 巣箱づくりよりもさらに重要と思われる、巣箱のかけ方などについても、非常に詳しく解説しました。

 ほぼすべてが私のオリジナルで、従来からの本や資料などと重複する内容は、全体の1割以下くらい
ではないかと思います。

 これまでの巣箱づくりや巣箱かけを総括し、検証し、そのうえで、新しく実態に合った考え方や方法
を提示しました。



 ★ブッポウソウ用巣箱についても、本では万能巣箱として、詳しく述べています。


 うまく巣箱をつくるための詳しいノウハウや、高耐久巣箱のつくり方などについても詳しく書きました。

 多くの読者の方々から、「これまでになかった本」として、高い評価をいただいています。


 多くの方がお求めやすいように、比較的低い価格設定にしました。

 ★著者としては、巣箱についてのあらゆるノウハウを詰め込んだつもりです。
  価格を上回る内容の濃さだと思っています。

  よろしければ、ぜひご購入ください。



  タイトル  巣箱づくりから自然保護へ


  著 者   飯田 知彦 (このホームページの作成者)    

         著者のホームページ  飯田知彦の自然研究室へようこそ!


  出版社  創森社 (東京都新宿区)

         単行本 : 276ページ  A5版  20.8×14.8×2.4cm

         ISBN-10 : 4883402584

         ISBN-13 : 978-4883402588


  価 格   1,890円(税込み)


  出版年月日  2011年 4月21日


  購入方法  お近くの書店や、インターネット(amazon等)等でご購入ください。



 ブッポウソウ用巣箱の開発話

 〔不明だった適正値〕

 上記ブッポウソウ用巣箱(=万能巣箱)は、私が開発したものです。
 どの鳥も巣箱の大きさ(サイズ)については文献や資料により比較的ばらつきがあります。これはもちろん鳥自体が入り口の穴の大きさ以外は比較的寛容である事から来ているのですが、それでも適正な大きさはあります。しかし別の巣箱のページでも述べているように、従来の文献による巣箱の各部分の大きさは、おそらく「あの鳥の大きさならばこの大きさなら利用するだろう」という感じで作られたもののようであり、実際に利用した証拠の文献なども見あたらないものが多いのです。おそらく確かに利用はしたのでしょうが、その大きさが適正かどうかはまた別の問題です。つまり、鳥が利用したからと言ってその巣箱の大きさが適切であるとは限らないのです。
 その代表的なものが、最もよく作られているシジュウカラ用巣箱です。この巣箱の大きさは、入り口はともかくほとんどの場合底辺の1辺は13cmから15cmで作られています。しかし実際に野外で繁殖しているシジュウカラの巣を調査してみると、ほとんど産座(卵の入っているくぼみ部分)しかない場合もあり、それでも支障なく繁殖に成功しているのです。そのため、底辺の1辺の適正値は10cm程度で十分と考えられるのです。必要以上な大きさのある巣箱では、巣作りに要する親鳥の労力は過剰なものとなる事が考えられます。(注:ただし大型種の繁殖のために巣箱を架けていて、適正よりも大きいと思われる、目的とする種よりも小型の種が入ってしまった場合はしかたがありません。)

 ブッポウソウの場合もそうでした。ほとんどの文献で巣穴の直径は10cm、巣箱の底辺の1辺は30cmとされていました。しかし、確実にその大きさの巣箱で繁殖していたという証拠の報告例等はなく、ただ数字の大きさだけが、ひとり歩きしている状態でした。私が見たところ、木製電柱で繁殖しているブッポウソウの巣穴はとても10cmほどはなく、木柱の直径も巣穴のあるあたりは、太いもので直径25cm程度と思われました。また、本来森林で繁殖していた時を含め、ブッポウソウの繁殖する巣穴を掘る主要な種は特に西日本ではキツツキ目のオオアカゲラであり(この件に関しては、長くなりますので詳しくは下記論文を参照してください)、オオアカゲラの巣穴を調査してもとてもそれほどの大きさはありませんでした。

 そのため、実際にブッポウソウが繁殖に使用した木製電柱・電話柱等の巣を、木柱の立て替えの時に譲り受けて調査したところ、8巣の平均で巣穴が7.5cm程度、巣の底辺が18cm程度、巣穴の下部から巣の底までは17cm程度(最も浅かったものは7cm)であることがわかりました。

 以上の事から、上記設計図の大きさ、つまりブッポウソウの繁殖に適正と思われる巣箱の大きさを割り出し、1988年からブッポウソウの巣箱かけが始まったのです。その後、特に初期にはいくつかの大きさや深さの巣箱を架設して調査を行いましたが、どうもやはり上記設計図の大きさの巣箱が最もよく利用する、またはその大きさから利用するようであることがわかり、以後は上記適正と思われる大きさの巣箱しか作成していません。
 ちなみに木柱の巣の底辺の平均が18cm程度であるのに、巣箱では21cmとしたのは、一般的に日本の木材は寸(約3cm)単位で売られており6寸にあたる18cmでもよかったのですが、ブッポウソウは巣材で自分で巣を作らず直接産卵し巣作りの労力を考える必要がないため、少し豪邸にしてあげようかという事で(笑)、7寸の21cmの木材で制作しました。

 〔実際にかけて検証〕

 こうして割り出した大きさ(サイズ)で作成した巣箱がプロトタイプとなり、さまざまな環境に実際にかけて試験を行いました。また当初は巣穴の大きさや巣箱全体の大きさなどさまざまな大きさの巣箱をさまざまな場所(環境の違いや地上からの高さなど)にかけて調査を行いました。その結果、現在の大きさの巣箱で実際によく繁殖に利用される事が実証された事から、2001年に学会誌にも掲載し、現在各地に広まりつつあるところです。
 この巣箱の優れている点は、構造が単純で頑丈で、大きさのわりに材料の板が比較的少なくてすむ事です。また、万能巣箱と言われるほど、多くの鳥類が利用できる大きさである点です。プロトタイプの巣箱は、耐久テストも兼ねて結果的に15年間、太陽光それに風雨にさらされ続けましたが、その間、毎年ブッポウソウのヒナを育み続けました。


 参考  飯田知彦(2001)人工構造物への巣箱架設によるブッポウソウの保護増殖策.
        Japanese Journal of Ornithology (日本鳥学会誌) Vol. 50. No. 1: 43-45

    ‐‐‐‐‐


      〔電柱に巣穴をあける犯人はどの動物かについて〕
      飯田知彦(1995).電柱を営巣場所とするブッポウソウの繁殖分布.
         Strix 11: 99-108
         (鳥類学上の謎を解いた興味深い論文として、高く評価されたものです)





かけて15年経過したプロトタイプの巣箱

プロトタイプの巣箱の中。屋根を開けたところ。

 外は古びていても、中は15年経過している事の感じさせないくらい、木目もはっきりしスギの香りもします。しかしやはりさすがに鳥への安全性から、この時新しい巣箱に交換しました。交換時までこの巣箱では毎年ブッポウソウのヒナが巣立ち、15年間に推定50羽ほどが巣立った事になります。(今は私の自宅で大切に保管されています)



【最近の問い合わせから】


・巣箱かけに適したハシゴ

 もちろんどのハシゴでもいいのですが、私たちはアルミ合金製の、下記の製品を使用しています。大きさの割に非常に軽量で、延ばして 5m のものでも重量は 11kg 程度です。
 巣箱の架設には山道や斜面、あぜ道など、足場の悪い場所を歩くことがほどんどです。そのうえハシゴに加えて巣箱を持って歩かなければなりません。しかし巣箱を軽量化する事はできません。そのため、軽いハシゴを探していたところ、下記の製品に行き当たった訳です。
 とはいえ、特殊な製品ではありません。ホームセンター等で簡単に入手することができます。


巣箱かけに適したハシゴ
(アルインコ : アルミ合金製 2連伸縮ハシゴ JXVシリーズ)

http://www.alinco.co.jp/jyuki/hasigo/JXV.html

 私たちはこのハシゴの、延ばして 5.07m 縮めて 3.05m のもの(JXV-50)を使用しています。ブッポウソウなど大型の種類の鳥でも、これ1本で十分対応可能です。
 ブッポウソウの巣箱を架ける時期の3月から4月頃にかけては、このハシゴは常に車のキャリアに載せてあります。



・スズメを入れたくない場合の巣箱のかけ方について

 スズメが巣箱を利用すると大量に巣材を運び込むため、他の多くの種類の野鳥は使いにくくなり、実質上ほとんど利用しなくなります。そのためのかけ方として、人家から離してかけるかけ方があります。通常人家や倉庫など人が住んでいる建築物から200m以上離してかければ、ほぼスズメは利用しません。
 スズメ以外の小型種のシジュウカラやヤマガラなどは運び込む巣材の量が少なく、また巣材もコケが主体のため、これらの種類が利用した後の巣箱は、他の種類も問題なく利用します。



万能巣箱について  ‐ヒガラからオシドリまで利用できる巣箱です‐

 〔上記ブッポウソウ用巣箱を、「万能巣箱」と呼ぶ理由〕
 この巣箱の寸法は、実際にブッポウソウが繁殖に利用していた木製電柱の繁殖巣穴を8個調査し、その結果から割り出したものです。このようにして開発したブッポウソウ用巣箱ですが、ブッポウソウのために架設している時に、実にたくさんの他の鳥類も繁殖に利用する事がわかりました。しかもその多くはブッポウソウの利用時期とは重ならずに用しており、ブッポウソウとも共存して利用していることがわかりました。
 そのため、シジュウカラなど小さな小鳥のために特別に巣箱をつくらなくても、このブッポウソウ用巣箱をつくってかけるだけで、多くの鳥類が保護できる事がわかりました。

 この巣箱を利用した鳥類
 ヒガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、ムクドリ、スズメ、ブッポウソウ、オオコノハズク、アオバズク、オシドリ、アオゲラ(冬季ねぐらとして) 合計11種類 (2005年現在)

 (注)この他にも未確認ながら数種類使用している可能性があります。また、地域によってはさらに多くの種類が利用する可能性があります。この他の種類が利用したのを確認された場合、教えていただければ幸いです。

 つまり、この巣箱をかけるだけで、小型から中型のこれだけの種類の野鳥が利用する可能性があるという訳です。これは小型の巣箱にはない利点といえます。

 〔特に繁殖場所に困っている中型鳥類への巣箱の提供のすすめ〕
 私の意見としては、シジュウカラなどの小型の野鳥は、これまででも木や地面の小さな隙間などでおそらく十分に繁殖ができていたと思われますので、特にそのために巣箱をかける必要はないと考えています。しかし中型から大型の野鳥はより大きな繁殖空間が必要なため、大きな木の減少した現在では、繁殖可能な場所があまりに少なく、うまく繁殖できていないつがいも多いと思われます。そのため、可能ならばこの万能巣箱を架設して、より多くの種類の野鳥、特に近年減少しつつあるとされる中型鳥類の繁殖を手助けできればいいと思います。
 かけ方は、上記ブッポウソウ用巣箱のかけ方のとおりです。


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  E-mail : tiida@bronze.ocn.ne.jp

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